パパとRE-tech起業と不動産運営と

25歳から10年以上大家してます。今まで6棟購入⇒4棟売却済。郊外築古APから都内新築へシフトしてます。1年前から専業大家に転身し、現在は大手賃貸ポータルサイトの空室募集状況を簡単に分析できる、大家さんのためのサービス「チェックル」https://checkru.jp/ を運営中。サービス開発と不動産運営の合間に感じたことを世界の片隅からつぶやきます。

2033年の住宅全体の空家率30.4%→貸家に絞って推計したら脅威の47%だった話

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先月、野村総合研究所が18~33年の空き家数・空き家率の予測を発表していました。

https://www.nri.com/jp/event/mediaforum/2017/pdf/forum254.pdf

 

既にご覧になったかたも多いと思いますが、現在ある空室800万戸が、このままいくと2033年には2,160万戸を超え、空き家率は30.4%まで達する、という中々恐ろしい予想になっています。

 

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賃貸用および売却用の住宅は、460万戸⇒12165万戸へ3倍に

ここまでは色々な記事でも飛び交っていた数字なのでご存知の方も多いと思うのですが、レポートではもう少しブレイクしていて、住宅種別の空家数予測も行っています。

こちらを見ると、「賃借用及び売却用の住宅」が2013年の460万戸から2033年には1265万戸へと、20年間でほぼ3倍にも膨れ上がっていることがわかります。むー。

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ふと、2033年の賃貸住宅の空家”率”を知りたくなった。

そして私はふと、全体で30.4%という空家率は、借家に限るとどれくらいの空室率になるのかと疑問に思いました。

 

ただこのレポート内には、住宅種別の空家率というのは記載されていませんでした。(正確にいうと、総住宅数7126万戸のうち、借家の割合がどれくらいなのかが記載されていなかった。)

 

そこで独自に推計して見ようと思い、出典にある総務省の「住宅・土地統計調査」を調べてみたところ、2013年時点での総住宅数6063万戸の持ち家・借家比率は記載されていなかったのですが、住宅の所有関係別という項目があり、持ち家比率は61.9%で3224万戸、借家の割合が35.4%で1845万戸と記載されていました。

 (詳細はhttp://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2013/pdf/giy02.pdf

 

持ち家と借家の数を足すと全戸数は5208万戸、そしてその年の空家数が820万戸なので、全て足すとざっくり6030万戸になります。少し乖離があるのですが概ねあっていそうです。

 

2013年時点の賃貸住宅の空室率は20%、では2033年は…

それらのことから、2013年時点での賃貸住宅に絞った空家率を考えると、分母は1845万戸+460万戸、分子は460万戸となり空室率は約20%という数字がでてきました。

 

それでは本題の2033年時点でどうなのか、考えてみます。

 

全体の居住住宅数における借家率が変わらず35.4%程度とします。すると総住宅数7126万戸から空家総数2166万戸を引いた4960万戸が居住住宅数となり、その中の35.4%は1401万戸となります。

つまり、空室率の分母は1401万戸+1265万戸、分子は1265万戸となり、2033年の賃貸住宅の空室率は47%という数字が導き出されます。。

 

2013年に19.9%⇒2033年に47%…。
倍以上になってますね。 これは結構やばくないですかね。。(汗)

 

あと15年後に、アパマン半数空室時代が到来する??

これが正確な数字なのかはちょっと保証しかねるのですが、でも世帯数が減少していく中で、賃貸用住宅の空家が今の3倍近く積み上がるとなると、全国で見てアパマンのほぼ半分が空室状態になってしまう、そのくらいのインパクトが数字上確認できました。

 

エリア別にだいぶ差がでてこようかとは思いますが、郊外を中心にもはや賃貸経営が成り立たない地域が相当数でてくることになりそうです。

 

空室30%を越えたエリアでの賃貸経営の体験談

自分は千葉県の茂原市という郊外の中核都市にアパート3棟ほど持って10年ほど運営していきましたが、そこのエリアは空室率が10年前くらいから30%を越えていたと思います。めちゃ客付けに苦労しました。(詳しい話はこちら

 

地域最安値で勝負していくのですが、築古の競合物件も次々と値段を下げてきて差別化を図れなくなり、20平米の物件なら築20年過ぎれば3万円以下、35平米程度の2DKの物件でも3.5万円くらいにしないと見向きもされなくなっていきました。家電付やペット可などにしたり、ADを増やしたり次々と手を繰り出すのですが限界があります。退去後の空室期間もだんだんと長期化し3,4ヶ月決まらないのが当たり前の状態になっていきます。

 

それでも、利回りをかなり高い状態で買っていたのでなんとかなったのですが、将来的なことを考えると長期的な希望は持てないと考え、ここ2年ですべて売却しました。そういう意味では、今の相場高騰期は地方物件を持つ大家さんたちにとっての最後の出口になる可能性もあります。

 

このような状態が将来的に全国に広がり、慢性的に空室が深刻化していく、、、というのは、ここ数年でフルローンオーバーローンを理由に高値掴みしてしまった大家さんたちにはまったく耐えられない事象となるでしょう。

 

悲観的な未来を避けるためのシナリオは??

野村総研のレポートでも、このままの悲観的なシナリオとさせないためのいくつかの打ち手を提案しています。

この中でもっとも手っ取り早く効果がありそうなのは、外でもよく取り入れられている「新築の制限」だと思います。ここは国や行政が都市計画にのっとってぜひ積極的に介入していってほしいところ。(もし新築の制限が導入されるようになれば、不動産売買価格もかなり売り手有利に高騰していくと思いますし。)

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今日は悲観的な話になりましたが、不動産はマクロに見ても色々なシナリオがありえます。もしハイパーインフレが起これば不動産保有している人が大勝ちになります。

どのような市況変化にも負けず、持ち続けても売却しても利が取れるよう、出口への感度は常に高めておくことをお勧めします。

 

ブログの合間にサービス開発をしています。
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